ドイツはウクライナ危機で「欧州の病人」に逆戻りしそう・・・ | 情報は自分で習得し、自分で判断する

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ドイツはウクライナ危機で「欧州の病人」に逆戻り インフレともう一つ“爆弾”がある

 
 
 欧州連合(EU)の経済大国であるドイツがウクライナ危機のせいで苦境に陥っている。

 今年第2四半期のドイツがマイナス成長に陥ることが確実視され、欧州委員会も「19カ国から成るユーロ圏の中で今年の経済成長率がドイツより低くなるのはエストニアだけだ」と予測している。ドイツ、エストニア両国はロシアへのエネルギー依存が高いことが災いして経済成長が妨げられるというのがその理由だ。

 ドイツはEU全体の経常収支の黒字の過半を占めるなど群を抜くパフォーマンスを示してきたことから「欧州で一人勝ち」と長らく言われていたが、再び「欧州の病人」になってしまうとの懸念が生まれている。

 

 1990年に東ドイツ(当時)と統合されたことが重荷となって、ドイツは2000年代初頭まで経済が低迷した。「欧州の病人」と揶揄されていたドイツだったが、安価なロシア産エネルギーを確保することなどを通じて経済を再生させたという経緯がある。

 ロシアのウクライナ侵攻前のドイツのエネルギー消費に占めるロシアのシェアは高く、最も顕著だったのは天然ガスの55%だ。原油は34%、石炭は26%と続く。

 ドイツには全長50万キロメートルを超えるパイプラインが張り巡らされ、住宅、工場、発電所などにロシアの安価な天然ガスが供給されていた。ドイツでは1970年代から天然ガスの大部分をロシアから輸入するようになったが、このことが問題になることはなく、むしろ、賢明な戦略だとさえ考えられてきた。

 

 シュレーダー元首相とその後任のメルケル前首相もロシアからのエネルギー供給の万全を期す対策に取り組んできた。その象徴と言えるのがロシアとドイツを直接繋ぐ海底天然ガスパイプライン(ノルドストリーム)だった。

 ノルドストリーム1は2011年から稼働を開始し、110億ドルの事業費を投じたノルドストリーム2も昨年9月に完成していたが、ロシアがドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国を承認したことを受け、今年2月にドイツのショルツ首相は「ノルドストリーム2の事業の承認手続きを停止する」と発表した。ノルドストリーム2は稼働する目途が立っておらず、巨額の負債を抱えたパイプライン運営会社の破綻が取り沙汰されている。

 

残されたエネルギー政策の選択肢は…

 ドイツはロシア産天然ガスを「脱炭素」社会への「架け橋」として重要視していたが、ウクライナ危機でその橋は無残にも壊れてしまった。

 原子力発電や石炭火力発電の活用に消極的なドイツ政府に残された選択肢は(1)新しい天然ガスの供給元を見つけることと(2)再生可能エネルギーへの移行を加速することだ。

 ロシア産天然ガスの代替として米国やカタールなどが候補に挙がっているが、天然ガスを液体で輸送することになればコストは格段に高くなる。液化天然ガス(LNG)の輸入に必要なインフラが未整備であることも頭が痛い。

 風力や太陽光などの再生可能エネルギーについては、環境や野生動物保護団体の反対や行政手続きの煩雑さなどが導入の進展を阻む壁となっている。

 ドイツ国内ではエネルギー節約に関する議論が熱を帯びつつある。注目を集めているのはアウトバーン(高速道路)の速度制限だ。この案はこれまで何度も浮上したが、自動車大国ドイツのロビイストがその実現が阻止してきた。未曾有のエネルギー危機の中、今度こそ実現するのではないかとの期待が高まっている。

 

不動産バブル崩壊の懸念

 ドイツでは官民挙げてロシア依存脱却の取り組みがなされているが、当分の間、エネルギー価格が高騰するのを回避することはできないだろう。

 4月の生産者物価指数(PPI)は前年に比べて33.5%上昇し、1949年の統計開始以降で最大の伸びとなった。エネルギー価格が87.3%上昇したことが大きく影響している。発電事業者向けの天然ガス価格は4.1倍、産業向けの天然ガス価格は3.6倍に高騰した。

 5月の消費者物価指数(CPI)も前年比8.7%の上昇となり、1963年以降で最大の上昇幅となったが、懸念されるのはドイツのインフレが短期間で収まりそうにないという点だ。

 リントナー財務相は「インフレは重大な経済リスクだ。インフレが自己増殖して暴走し、経済危機に陥らないようにしなければならない」と危機感を露わにした。

 

 約100年前にハイパーインフレに見舞われた経験があるだけに、ドイツ政府は「欧州中央銀行(ECB)はインフレを鎮圧するための断固たる行動をとるべきだ」との主張を強めている可能性が高い。

 これに対し、ECBは7月に利上げを予定しているものの、大幅な利上げが住宅ローン金利の上昇を引き起こし、割高感があるユーロ圏の住宅価格が大幅に下落することを危惧している。コロナ禍の金融緩和により世界各地の不動産価格は軒並み上昇したが、ユーロ圏で特に不動産が値上がりしたのは経済が絶好調なドイツだった。だが、低金利時代が終わろうとしている今、ドイツの不動産市場に不穏な兆しが生じている。

 

 高利回りを求める金融機関から資金を大量に集めて急成長したドイツ不動産大手アドラーが、資金の調達難から経営危機になりつつある。今後ECBが金融引き締めの姿勢を鮮明にすれば、苦境に陥るドイツの不動産企業が相次ぐ可能性は排除できない。

 ウクライナ危機の勃発で競争力を失い、不動産バブルが崩壊すれば、ドイツが「欧州の病人」に逆戻りするのは間違いない。欧州の雄であるドイツ経済が絶不調になれば、ユーロ圏全体の危機にまで発展してしまうのではないだろうか。

 

 

 ドイツ、ヤバいですなぁ~。

 

 PPIが戦後最大幅の前年比33.5%増。

 

 当然、CPIも上昇しており、こちらは前年比8.7%増。

 

 完全なインフレですよ・・・

 

 まあ、資源をロシアに依存してきた報いでしょうけどねw

 

>高利回りを求める金融機関から資金を大量に集めて急成長したドイツ不動産大手アドラーが、資金の調達難から経営危機になりつつある。

 

 ハイハイ、このネタも以前に読んだことがあるぞ!

 

独アドラー危機が大手金融機関に波及-モルガンSもエクスポージャー

2022年5月12日 20:15 JST
  • アドラーは高利回りを求める大手金融機関から資金を集め急成長

  • 一部のアドラー債は最近、額面1ユーロに対し0.54ユーロに値下がり

 ウォール街の金融機関や世界最大級の資産運用会社がドイツの不動産大手、アドラー・グループの危機に巻き込まれようとしている。

 シュローダーとパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)、モルガン・スタンレー、ブラックロックはアドラー債の一部を保有。アドラーと同社に関係する不動産会社網で問題が広がる中、75億ユーロ(約1兆円)に上る関連債務の行方に注目が集まっている。

 

 ほとんど無名だったアドラーは高利回りを求める大手金融機関から資金を集め急成長を遂げたが、同社の社債価格は昨年夏に下落し始めた。低金利時代が終わろうとする今、アドラーは調達難に見舞われており、同社債45億ユーロ相当の保有者は大きな損失に見舞われている。

 ニューヨークの資産運用会社スリー・ブリッジ・キャピタルのポートフォリオマネジャー、アッシュ・ナデルシャヒ氏は「本質的に循環的なドイツの住宅セクターでアドラーは常にレバレッジ(借り入れ)に頼っていた」と述べ、「こうしたポートフォリオは全て時限爆弾を抱えている」と指摘した。

 

 ブルームバーグの集計データによれば、シュローダーはアドラー債を約3億8600万ドル(約500億円)相当と最も多く保有。一部のアドラー債は最近、額面1ユーロに対し一時0.54ユーロに値下がりした。

 データによると、今月時点でブラックロックの保有額は約1億3000万ドル相当、PIMCOは9000万ドル弱。モルガン・スタンレーはアドラー債を持つほか、アドラーの子会社がデフォルト(債務不履行)に陥った場合に支払いが請求されるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)3億6500万ドル相当の一部を引き受けていると事情に詳しい関係者は説明。こうした資産のどの程度を自社で、どの程度を顧客のために保持しているのかは不明だ。

 アドラーとブラックロック、モルガン・スタンレー 、PIMCO、シュローダーの担当者はコメントを控えた。

 

 

>ほとんど無名だったアドラーは高利回りを求める大手金融機関から資金を集め急成長を遂げたが、同社の社債価格は昨年夏に下落し始めた。

 

 成り上がり企業のバブルが弾けたようだねw

 

 問題は、ドイツの他の不動産市場のどのくらいの影響を与えるのかということだね。

 

 まあ、インフレによる金利上昇で不動産市場が凍り付くのは致し方ないことだと思うけど。。。