「キンペイ版文化大革命」が発動されたアルネ! | 情報は自分で習得し、自分で判断する

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「習近平版文化大革命」の発動が宣言された――と信じるべきこれだけの理由

中国を代表する女優の趙薇(ヴィッキー・チャオ)も「新・文化大革命」のいけにえに? Alessandro Bianchi-REUTERS

 

<中国でよくない変化の胎動が始まっている。芸能人摘発に続いて企業・金持ち叩き、さらに経済政策批判禁止に英語の制限......。すべての出来事が指し示しているのが、半世紀前の悪夢「文化大革命」の再来だ>

 

芸能界粛清から始まった習版の文化大革命

 日本でも一部報じられていることだが、今年8月に入ってから中国で著名芸能人に対する異様な「粛清」が相次いで行われた。

 まずは8月中旬、人気俳優の張哲瀚が数年前に靖国神社で写真を撮ったという過去の「罪状」を暴露され、人民日報などの国営メディアから厳しく批判された。その結果、数多くのブランドとの契約がその日のうちにすべて打ち切られ、撮影中の作品からも降板を余儀なくされた。張哲瀚はこれで事実上の芸能界追放となった。

 そして8月27日、人気女優・鄭爽の巨額脱税が認定され、50億円の罰金を課された一方、映画・テレビの所管当局は、鄭爽に関わるすべての作品の放送を禁止すると発表した。新たな作品への起用も認めず、これも事実上の芸能界追放となった。

 さらにその2日後の29日、鄭爽よりも芸能歴が遥かに長く、中国を代表する大物女優の1人である趙薇(ヴィッキー・チャオ)への「封殺」が始まった。その日夜から中国の主な映画配信サイトで彼女の名前が検索できなくなり、過去に出演したテレビドラマのクレジットからも趙薇という名前が一斉に消えた。趙薇に対するバッシングの原因は未だに不明だが、今から20年前に旧日本軍を連想させる旭日旗をデザインした服を着て問題視されたことが一因ではないかと報じられている。

 

 以上の3人が批判・追放された理由はそれぞれであるが、共通点が2つある。1つは、彼・彼女たちに対する批判はネットから官制メディアまで同時期に展開され、芸能界からの追放などの処罰も同時期に行われた。つまり、この3人に対する批判と追放は決してバラバラの行為ではなく、むしろ統一した指揮下の統一行動であると理解できよう。そして中国の場合、共産党政権こそがこのような統一行動の唯一の指揮者である。

 もう1つの共通点はすなわち、その理由がどうであれ、彼・彼女たちに対するバッシングがあまりに残酷かつ乱暴である点だ。例えば鄭爽の場合、彼女の脱税に対して罰金するだけならわかる。だが全作品の放送禁止や新作への起用を認めないとなると、恣意的なバッシングというより粛清そのものである。

 

 1人の人間の1つあるいは2つの過失や落ち度を理由に、人格を全否定的に批判した上で社会から完全に葬り去る乱暴なやり方は、50代以上の中国人ならみな記憶にあるであろう。1966年から始まった10年間の文化大革命の時代に、共産党幹部から知識人・芸能人まで多くの人々が、まさにこのような粛清を受けた。

 こうしてみると、今回の「芸能人粛清」はひょっとしたら、中国における文化大革命再来の兆しではないかと思えてしまう。実際、中国現代史上最大の政治粛清運動となった文化大革命は、その名称の通りまさに文化や文芸の領域から粛清が始まり、「文化」に対する「革命」としてスタートしたのである。

 

 そして8月30日、政府系重要新聞の1つである光明日報は、このような「文化大革命」を匂わせる文芸評論を掲載した。

 北京大学中文系(国文学部)の董学文教授による論評は、「文芸従事者で主に構成される娯楽業界では、今や偏りや乱れが生じている」と断じた上で、「価値観の歪み」や「娯楽至上主義」や「低俗・低劣」などの現象を取り上げ、「それらの現象が人々の心を侵食し文芸の生態環境を汚染し、社会主義の核心的価値観を転覆しようとしている」と厳しく批判した。

 「心の浸食・汚染・転覆」などの厳しい言葉を使って芸能界のことを断罪したのであれば、徹底的な「粛清」が当然必要となってくる。芸能界で実際に起きている事態を見れば、このタイミングで発表された上述の論評は、まさに「文化的粛清運動=文化大革命」の号砲ではないのか。

 

過去の言論で文化人を断罪する「文革手法」

 芸能界での文化大革命の開始と同時に、言論界に対する統制と粛清もより一層厳しくなってきている。

 8月27日、国内のネット統制を主な任務とする国家インターネット情報弁公室が通達を出し、経済政策や経済問題に関するネット上の情報発信と批判を厳しく取り締まる方針を示した。通達によると、今後はネット上で「政府の経済政策を歪曲したり、中国経済衰退論を唱えたり、海外の中国経済論評を無批判に流布したり」する発言や論評は取締りの対象となる。

 中国共産党政権下では、党と政府の政策方針に対する政治的批判は以前から御法度であるが、鄧小平時代以来の数十年間、経済問題に関する議論はおおむね自由で、建言という立場からの政府の経済政策に対する批判は基本的に許されていた。しかし、今後は経済問題に関する批判的言論までがネット上から一掃される。あらゆる領域で「1つの声」しか許されない、という文革大革命時代が戻ってくるような雰囲気である。

 

 この通達に先立って、ネット上の著名文化人の1人が封殺の対象となった。有名歌手・作曲家・音楽プロデューサー・作家の高暁松は、2014年から2017年までの数年間、「暁松奇談」というネット番組を持っていた。天文地理や歴史・文化などの幅広い領域の話をネタにしたトークショーで、当時大変な人気を博して最近までよく視聴されていたが、8月27日の段階でこの番組の全ての映像がネット上から消えていることが判明した。

 そして8月28日、中国社会科学院所属の中国歴史研究院が長文の批判文を掲載し、高暁松が上述の「暁松奇談」で行った過去の「問題発言」を掘り返し、厳しく批判した。高がアメリカやインドの民主主義を称賛した発言や抗日戦争における蒋介石の功績を肯定した発言が取り上げられているが、上述の中国歴史研究院の批判文は、こうした言論を1つ1つ引っ張り出して高の「6つの罪」を列挙して断罪した。

 

 かつて文革大革命を体験した中国人なら、この批判文を読んで背筋に寒さを感じるはずだ。人の過去の発言を掘り出して「5つの罪」「6つの罪」と断罪するのは、まさに文化大革命時代に流行っていた「革命批判」の手法そのものだからだ。

 

企業と富裕層が標的の「劫富済富」革命

 芸能人や言論人に対する上述のような「文革式粛清」に先立って、習近平政権は2020年秋ごろから、民間の大企業に対するバッシングを始めている。

 その最初の標的となったのは、中国を代表する大企業のアリババグループである。まずは昨年11月にアリババ傘下のアントグループが計画した史上最大規模の株公開(IPO)が当局によってストップをかけられ延期を余儀なくされた。その前後からアリババ創始者の馬雲(ジャック・マー)は公の場から姿を消して「謹慎の身」となった時期もあった。そして今年4月、アリババグループが独禁法違反で182億元(3000億円)の巨額な罰金を課された。

 今年7月には、今度はIT大手の騰訊控股(テンセント)や、配車サービス最大手の滴滴出行(ディディ)が独禁法違反による罰金対象となった。滴滴出行の場合、6月末にニューヨーク市場で上場した直後に、中国当局が国内業務に制限を加え、ニューヨーク市場で株価が急落した。企業としての存続まで危ういのではないかとの観測が国内で広がっている。

 

 そして7月下旬になると、大企業いじめはいよいよ特定業界に対する乱暴なバッシングにエスカレートした。7月24日、中国共産党と国務院は義務教育段階の子供の負担を軽減するため、学校以外の学習禁止を厳命する、という前代未聞の「塾禁止令」を出した。その直後から中国全土で学習塾や補習校の摘発が始まり、塾講師ら約1000万人の被雇用者を有するこの巨大産業は、政権の命令によってつぶされる最中である。

 

 8月17日、今度は全中国の富裕層・高収入層の心胆を寒からしめる重大ニュースが伝えられた。その日、共産党政権の経済政策の最高意思決定機関である中央財経委員会は習近平の主宰で第10回会議を開いたが、当日の中国中央電視台(CCTV)の伝えるところによると、会議は「共同富裕」というスローガンを打ち出し、今後の政策方針の1つにしたという。

 会議は貧富の格差の是正による「共同富裕」の実現を唱え、そのための手段として高収入層の「不法収入に対する取り締まり」と並んで、彼らの「不合理収入」に対する「整理・規制」を強調した。

 共産党中央の財経委員会がここで、「不法収入」と並んで「不合理収入」を持ち出したことは重大だ。その意味するところは、高収入層の収入が例え合法的に取得した正当なる収入であっても、当局がそれを「不合理な収入」だと認定すれば、この個人収入に対して「整理・規制」の手を入れることが可能になる。

 もちろん、政府当局のいう「整理・規制」とは要するに、税以外の上納金の強要や罰金などによるさまざまな収奪の遠回しの表現である。習政権は今後、「共同富裕」の大義名分を振りかざして、国内の富裕層・高収入層を標的にした「劫富済貧(富める者から奪い、貧しいものを助ける)」式の分配政策を強引に進めていくだろう。それは完全に鄧小平以来の「先富論」の否定であり、毛沢東時代の共産主義革命路線への逆戻りでしかない。

 毛沢東流の共産革命が最も極端な形で実現したのが文化大革命時代である。当時、元資本家などの富裕層が持つ家屋や預金などの個人財産はかなりの部分が没収されたが、習政権の「劫富済貧」は一体どこまでやるつもりなのか。

 

明確にして堂々とした「革命宣言」の登場

  以上が文化・政治・経済の各分野における習政権の極端な政策と政治行動だが、これだけではない。9月1日からは大都会の上海で英語のテストが禁じられるのと同時に、「習近平思想」が学校教育の必修科目となる。

 

 一連の出来事の全ては毛沢東時代、とりわけ文化大革命時代への回帰の予兆ではないか――。このような危惧が国内外で広がっている最中、まさに習近平版文化大革命の発動を宣言したかのように見える新たな文章が登場した。

 「誰でも感じ取れる、深刻な変革は今進行している最中だ!」と題するこの文章は、ソーシャルメディアの微信(ウェイシン)で「李光満」の名前で文筆活動をしている人物の手によるものだ。当初は「李光満氷点時評」という個人ブログに掲載されていた。

 そして8月29日、共産党機関紙の人民日報や国営新華社通信、中央軍事委員会機関紙の解放軍報、CCTV、中国青年報、中国新聞社などの主要政府系メディアが一斉に、この文章を各自の公式サイトで転載した。

 人民日報や新華社通信、解放軍報が一民間人のブロガーの文章を一斉に転載するのは前代未聞の出来事のことである。それは共産党中央宣伝部からの、あるいはそのさらに上層部からの命令に違いない。そして、習近平による個人独裁体制が確立されている今の政治状況下では、この文章の転載命令はやはり、習自身によって出されたか、習の意向を受けて出されたかのどちらかであると思う以外にない。

 

 それでは、この衝撃文章の中身は何か。文章は冒頭から、まずは中国の芸能界・文化界を槍玉にあげて、「芸能界・文化界全体はすでに腐りきっている」との激しい表現で断罪。そして本稿も取り上げている3人の芸能人たちの「罪状」を詳しく羅列した上で彼らに対する追放を称賛した。

 それに続いて、文章は高暁松を厳しく批判した後、矛先をアリババや滴滴出行など民間企業に向けて批判を展開。そして、それに関連して習政権の「共同富裕路線」にも言及した。これら一連の出来事を取り上げた上で、文章は興奮気味の口調でこう書いている。

 

 「(この一連の動きは全部)われわれに告げようとしている。中国では大きな変化が起きているのだ。経済領域から金融領域、そして文化領域から政治領域において深刻な変革が発生している。それは深刻な革命とも言うべきだ。それは資本集団からの人民群衆への回帰であり、資本中心から人民中心への回帰である。従ってそれは政治的変革であり、人民は再び変革の主体となっている。人民を中心とするこの革命を阻止する者は全部切り捨てられよう。この変革は回帰だ。中国共産党の初心への回帰、人民中心への回帰、そして社会主義の本質への回帰だ」と。

 

 筆者はこの文章を読んで強く感じた。人民日報、新華社通信から解放軍報までの共産党の中枢宣伝機関が一斉に転載したこの文章は、明確にしてかつ堂々と「革命宣言」を行っている。

 

習版の「司令部を砲撃せよ」なのか?

 文章によれば、革命は今、経済・文化・政治の各領域に全面的に展開されようとしているが、革命の主題はすなわち「回帰」、「資本集団からの人民群衆への回帰、資本中心から人民中心への回帰、共産党の初心への回帰、社会主義の本質への回帰」であるという。

 しかし中国現代史を知る者であれば、ここで言う「回帰」はまさに、改革開放の鄧小平路線に対する否定と批判を前提としていることがすぐに分かる。つまりこの文章からすれば、鄧小平時代以来の改革開放は要するに資本集団のためのもので、共産党の「初心」と社会主義の「本質」から離反している。だからこそ今、革命を起こして路線修正を行い、人民中心や共産党初心、そして社会主義の本質への回帰を果たさなければならない、というのである。

 

 思えば、毛沢東の発動した文化大革命は、まさに建国以来の「劉少奇を代表とする反革命的修正主義路線」を全面的に否定・批判した上で、文化・経済・政治などのあらゆる領域において「毛主席の革命路線」を取り戻し、共産主義革命の原点と初心に戻ることを旗印として掲げていた。前述の文章は紛れもなく、毛沢東流の文化大革命を強く意識した、「新版文化大革命宣言」と思うしかない。

 習近平は、第2の毛沢東となって中国を震撼させる第2の文化大革命を発動するつもりなのか。今後の展開から目を離せない。

 

 

 最近の韓国ネタはツマラナイ物ばかりだけど・・・

 

 流石、宗主国様はダイナミック!

 

 オイラは、この記事に書かれている一つ一つ内容は、その都度チェックしてニヤニヤしていたのだが・・・

 

>「(この一連の動きは全部)われわれに告げようとしている。中国では大きな変化が起きているのだ。経済領域から金融領域、そして文化領域から政治領域において深刻な変革が発生している。それは深刻な革命とも言うべきだ。それは資本集団からの人民群衆への回帰であり、資本中心から人民中心への回帰である。従ってそれは政治的変革であり、人民は再び変革の主体となっている。人民を中心とするこの革命を阻止する者は全部切り捨てられよう。この変革は回帰だ。中国共産党の初心への回帰、人民中心への回帰、そして社会主義の本質への回帰だ」

 

 この一文は、昨日お伝えした通りだけど・・・

 

 ここで、確信しましたよ。キンペイ版文化大革命を!

 

 つい先月、オイラは「中国共産党 その百年」なる書籍を読破しました。

 

 

 

 中国の歴史ではなく、共産党の歴史のみに絞って書かれており、とてもわかりやすかった。

 

 興味のある方には本当に一読して欲しい良書です!

 

 そこ書いてある文革に関する出来事そのまま、最近の中国で起き始めているのだ!

 

 日本メディアは屑なので、現在の中国情勢をほとんど報道しないけど・・・

 

 まさか、文革を目の当たりの出来るとは思っていなかった。

 

 キンペイくんが毛沢東時代への回帰を願っていることは100%確実だな。