多産新都市シルバー宅配の誤解と真実

去る17日、大統領府の国民請願掲示板には、多産新都市宅配大乱を解決するためにシルバー宅配便を導入したことを批判する請願が上がってきた。 投稿二日目である19日午前11時35分現在、請願参加人員は20万人を突破した。 請願者は「シルバー宅配関連費用は、全額多産新都市入居者の管理コストでカバーしなければならず、公的資金がただ1ウォンも投入されてはならない」と主張した。
シルバー宅配は宅配会社が一定の拠点に物を下せば、アパート団地近くに住んでいる高齢者宅配運転手が家まで配達するシステムである。 2007年に導入されて、現在、全国88の団地で、政府・自治体・宅配業者・社会福祉団体の協議を通じて運営されている。 最近、全国的に「車のない団地」が広がり、宅配車両の進入問題の解決策として注目されている。
当初、シルバー宅配便は高齢者の雇用拡充という公益的な目的で導入された。 2015年からシルバー宅配便を導入したソウル九老区天王洞ペントハウスの場合、区役所が高齢者宅配運転手1人につき1ヶ月に15万ウォンの補助金を支給している。
多産新都市に投入されるシルバー宅配も同じ脈絡だ。 高齢者宅配運転手が宅配便を運んだ後、受け取るお金は宅配会社から支給される。 これとは別に、自治体と保健福祉部が一緒に高齢者運転手に補助金を月15万ウォンずつ支給する。 高齢者の雇用創出の次元で、従来からの予算を編成して支給する補助金である。
結局、多産新都市住民が享受するシルバー宅配事業に補助金(税金)が投入されるのは確かだが、ここだけに特典を提供するという批判は事実ではなく、誤解であるわけだ。 従来から、高齢者の雇用次元で行ってきたシルバー宅配事業を、多産新都市に新規に編成することだけである。
保健福祉部の関係者は、「シルバー宅配事業は、2007年から進めてきた事業で、多産新都市のために導入された制度ではない」として「老人福祉次元ですでに割り当てられた予算があり、南楊州市が高齢者福祉事業にシルバー宅配便を導入すれば、既存に割り当てられた予算を配分するだけ」と説明した。
厳密に言えば、宅配会社が高齢者宅配運転手に支給する費用も、住民が一定部分は負担するものである。 宅配業者の関係者は、「シルバー宅配記事に支給するお金は、すでに顧客が出した宅配費で支給されるもの」として、「宅配業者が別の費用を負担することはほとんどない」と述べた。 シルバー宅配便のために既存の宅配便運転手は、その団地で収める手数料は与えることができますが、他の物量をより処理して収益を得ることができるという説明だ。

宅配便業界関係者は、「シルバー宅配運転手の賃金は、すでに消費者が出した宅配費で処理される」として「受益者負担」を増やすと強調した国土部の発表が誤解を買った側面がある」と述べた。
韓国で最近はやりの「甲と乙」=日本では存在しない使われ方も
甲と乙。契約書などでよく見られる言葉だ。甲は会社など雇用者側、乙は被雇用者側となるのが普通。甲は権力の象徴、乙は権力に屈する側の象徴と見なせるだろう。
韓国では13年ごろから、この「甲と乙」という言葉が流行語となっている。何にでも「甲と乙」が出てくる。「甲乙つけがたい」というような甲乙ではなく、権力側の「甲」と被支配側の「乙」といった図式で表される甲乙だ。
実際には「甲と乙」そのものではなく、「甲質(カプチル)」という単語で出てくる。「甲質」とは、甲のごり押し、甲の横暴、甲の権力濫用、ほどの意味となる。乙に対する甲のあくどい性質、やり口、傲慢(ごうまん)さ、強引さという意味も含まれよう。上位にあるその地位を利用して、下請けや弱き者たちに無理難題を押し付けたり金を支払わなかったりする行為だ。
事の発端は、確か「南陽(ナムヤン)乳業」という牛乳会社が、下請けの代理店に無理難題を押し付けながら平然としていた事件だったと思う。13年初頭にあった事件で、下請け会社の社長が本社の暴挙に追い詰められ、結局命を絶ってしまった事件だった。牛乳を100本注文すると200本は黙っていても配達されてきたり、ヨーグルト100本注文するとやはり300本とかを無理やり押し付けられ、それを断り切れない。
甲は南陽乳業、乙は下請けの代理店。この甲乙関係が世間一般の大きな関心事となり、結局同年7月の国会で、このような「甲のごり押し」を放置するのを取り締まる法案が提起・可決され、14年1月に施行された。一般に大規模流通業法と呼ばれている。この南陽乳業事件があった後、テレビもラジオも新聞も皆「甲の横行」、「甲のごり押し」、「甲の暴挙」などという言葉を使うようになった。
14年12月に起こった大韓航空の「ナッツリターン事件」もいまだ記憶に新しい。大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)副社長に本機に乗務していた客室乗務員がマカダミアナッツを袋に入れたまま提供したところ、趙がこれに対して「機内サービスがなっていない」と激怒し、チーフパーサーに「今すぐ飛行機から降りろ」と命令した事件。この場合甲はオーナーの娘・趙副社長、乙はチーフパーサーのパク・チャンジン氏である。大きな事件に発展した後、趙顕娥はすべての役職から退くことになり、さらに謝罪することになった。この騒動で韓国内ではマカダミアナッツの売れ行きが急増するというオマケがついた。この2つの事件に限らず、至る所で甲質事件が発生している。
庶民レベルでは次のような使い方になろうか。世間話をするとき、例えば「昨日は俺が全部おごってやったよ。4人集まってさ、俺が古参で甲じゃんか。甲としてちょっとカッコつけといたよ」とか、「今日は私が甲よ。全員、今日は私の言うことを聞くのよ」と使ったり。
甲乙という契約書や法律書などにしか見られないガチガチのお堅い単語が世間話にまで応用され使われる現象が(多少は下火になった感もあるが)、韓国のホットな話題となっている。
ちなみにこの「甲質」、日本語にするとどうなるのか考えてみた。パワーハラスメントくらいが一番ふさわしいものかもしれない。ただし、これは会社と会社、あるいは会社内での力関係で使われる場合だと思う。一般庶民の会話で、「今日は私が甲よ」といった使い方は、日本では今のところ存在しないものと思われる。