FOMC:資産購入規模を維持、縮小には景気回復の証拠必要
9月18日(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC )は17-18日に開催した定例会合後に声明を発表し、毎月850億ドルの債券購入ペースを維持する方針を示した。市場では購入規模の縮小が予想されていたが、金融当局は購入規模縮小には景気回復のさらなる証拠が必要だとの見解を示した。
バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長は記者会見で、「今日の労働市場をめぐる状況はわれわれ全員が望むような状態からはなお程遠い」と発言。「委員会は最近数カ月に金融状況が急速に引き締まったことが景気を減速させる影響を与えた可能性があると懸念している」と語った。
借り入れコストの上昇で景気鈍化の兆候が表れていることから、バーナンキ議長率いる当局者は資産購入の縮小を見送った。議長が初めて資産購入縮小の時期に言及した5月以来、米国債利回りは急上昇している。当局のバランスシートは3兆6600億ドルと、2007年8月の8690億ドルから急拡大している。
バーナンキ議長は資産購入を縮小するかどうかの判断はデータ次第で、あらかじめ決まった時期はないとの見解を示した。
議長は記者会見で、「あらかじめ決まった予定はないことを強調したい」と発言。「データがわれわれの基本予想を裏付ければ、年内に始めることが可能だ」と述べた。
FOMCは失業率が6.5%を上回り、今後1-2年のインフレ率が2.5%以下にとどまると予想される限り、政策金利をゼロ近辺にとどめる方針も維持した。事実上のゼロ金利政策は2008年12月以来続いている。
議長は利上げについて、「失業率が6.5%を著しく下回るまでは実現しない可能性もある」と付け加えた。
この日公表された予測によると、最初の政策金利引き上げは2015年になるとメンバーの大半が予想した。 FRBの正副議長ならびに3人の理事と地区連銀総裁12人を対象にまとめた予測中央値では、2016年末時点のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標は2%となっている。完全雇用と物価安定が実現した際のFF金利は4%が妥当だと予測されている。
国内総生産(GDP)予測の中心傾向は今年が2-2.3%増、2014年が2.9-3.1%増が見込まれている。2015年は3-3.5%増となっている。
6月時点の予想では今年が2.3-2.6%増、2014年が3-3.5%増、2015年が2.9-3.6%増だった。中心傾向は最も高い3つと最も低い3つの予想を除いたもの。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのチーフエコノミスト、ジョン・シルビア氏は「今、緩和規模を縮小するのはリスクが大き過ぎると当局者は感じている。経済は当局が望んだほど速いペースでは成長していない」と指摘。「もう数カ月待ち、12月に始める可能性がある」と述べた。
金融当局は物価上昇率が長期的な目標である2%を下回っていることに言及した。7月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比1.4%上昇にとどまった。2012年5月以降、FOMCのインフレ目標である2%を下回って推移してきた。
カンザスシティー連銀のジョージ総裁は6会合連続で反対票を投じた。現行の緩和政策が金融に不均衡を来すリスクを高めているとの見解をあらためて示した。
ブルームバーグの調査によると、エコノミストはFOMCが住宅ローン担保証券(MBS)の購入額を400億ドルで維持する一方、米国債の購入額を50億ドル減らし400億ドルにすると予想(中央値)していた。
>米連邦公開市場委員会(FOMC )は17-18日に開催した定例会合後に声明を発表し、毎月850億ドルの債券購入ペースを維持する方針を示した。
>FOMCは失業率が6.5%を上回り、今後1-2年のインフレ率が2.5%以下にとどまると予想される限り、政策金利をゼロ近辺にとどめる方針も維持した。