守り柿~未来への願い~
わたくしの大好きな日本の風習のひとつです。
柿の木には、沢山、柿の実が、実りますよね
日本では、必ず、ひとつ残すそうです。
その柿の事を、「守り柿」というんです。
そこには、自然に対する畏怖と感謝の気持ちが表れているといいます。
「沢山の恵みをありがとう。来年も、宜しくお願いします・・・」と・・・
今年は、柿の収穫が、よくなかったそうですね・・・
最近は、軒先に「干し柿」をされる方が、少なくなりました。
先日、お法事にお伺いさせていただくと・・・
軒先に、柿が干されていました
「○○さん美味しいそうな干し柿ですね風情があってええですね」
「テツゲン和尚さん今日、法事をお勤めしていただいた義理のお母様は、干し柿が好きじゃったなのでね、わたしの実家から、柿を送ってもらい、わたしが作ったんよ~テツゲン和尚さんは、干し柿好きなん?」
「大好きですよ」
「じゃ、持って帰らん?」
「いいんですか?では、お言葉に甘えて・・・」
聞けば、初めて「渋柿」の干し柿を作られたそうです。
「渋柿」は成熟させても、渋味が除かれるわけでは、ありません。
ただ、渋味を、取り除かなければなりません。
この渋味は、柿に多く含まれるタンニン(水溶性タンニン)で、不溶性タンニンにすれば、渋味は、抜けるといいます。
渋抜きの方法のひとつに、柿を無気呼吸させる方法(柿を熱湯に浸して、酸素呼吸が出来ないようにし、アセトアルデヒドという物質を生成し、それが、タンニンと結びついて、独特の甘味が生まれるとか・・・
数ある果物の中でも、稀な御供え方です。
房を下にするんです。
今日は、お寺で、お檀家さまの一周忌の法要がありました。
そこで、わたくしは、お話させていただきました。
「早いもので、お亡くなりになられて、一年が、参ろうとしています。これから、亡くなられた御仏を丁寧に御供養させていただくために、33年かけて、御供養させていただきます。今日の一周忌・来年の三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十五回忌、三十三回忌・・・十三佛信仰と共に・・・実は、それぞれ、仏教では、違う呼び方があるんです。
一周忌のことを「小祥忌(しょうしょうき)と・・・」
大小の小さいに、「祥雲寺の」「祥」・・・「忌み明け」「めでたい兆し」「めでたい」という意味があるというのですが・・・
今日の様に、一周忌のお勤めをお勤めさせていただくのは、
今日お集まりの方が・・・
悲しみもあった事でしょう苦しんでいる事もあるでしょう。
けれど、一生懸命生きてこられたからこそ・・・悲しみの中で、亡き方への供養の願い・・・
わたしは、散歩や散策が好きです。この時期、紅葉狩りにも行きましたお寺の境内にある、楓は、まだまだ、紅葉していません。赤く染まる楓に、元気をもらいます。それと同時に、散歩した途中で、拝見する亡くなった○○さんの盆栽、紅葉する事なく、常に、緑でわたくし、元気をいただきます。
佛になったのだから、水はあげなくても良い
という考え方もあります。否定はしません。
けれど、わたくし共、曹洞宗は、
佛になったとしても、霊具膳をあげ・・・
佛になったとしても、お水を亡き方にお供えさせていただきます。
曹洞宗では、亡き御霊の御供養をお勤めさせていただく事は・・・
亡くなっても、なお・・・生きている時と同じように・・・
大切な家族を失った家族や親族同士が、悲しみを、少しでも抜けるように・・・分かち合えるように・・・
お勤めさせていただく事が大切なんですよ
「親父元気でやっちょるかわしら、元気でやっちょるけ~心配せんでええけ~」
「あなた見えてる孫がね~・・・」
亡き方へ、お言葉を投げかけてください。
亡き方を、思い出し・・・
曹洞宗梅花流詠讃歌
報恩供養御和讃(2)
清きをささぐ 御灯明に みまえは 映える花の影
わが はらからよ いとし児よ 面影かなし ありし日の
亡くなっても、なお・・・思いを守り、伝え、残していくことこそ・・・
実は、今日、大切な人の弟様の結婚式でした。
わたくしは、生きている家族へ、結婚式のお祝いを、お届けさせていただくと共に・・・
お亡くなりになられたお母様へ、お線香を御供えさせていただきました。
お線香を御供えし、合掌しながら・・・亡き方へ、お話させていただきました。
「(お母さん)良かったね~おめねでとう。」と・・・
感謝の気持ちは、決して忘れてはならない、大切な事であると・・・
法事のお勤めも終わり、お施主である息子さまが、挨拶に来られました。
「和尚さん、今日は、本当にありがとう。明日の法要でも、亡くなった親父の供養、お願いします。」
夕陽に映える「柿の実」
その側に生える「松」
柿の実をひとつ、もいで・・・亡き師匠に、御供えさせていただきました。
「守り柿」・・・