永禄三年、肥前国において、
有馬勢は、渋江公親の篭る潮見城を攻めあぐねていた。
城自体が堅固な事もあったが、
なによりその、そろえられた鉄砲の力にやられていたのである。
「あの鉄砲をどうにかしなければ。」
考えた。
そして、思いついた。
有馬勢は、渋江氏の氏神潮見神社の巫女を買収し、潮見城に向かわせ、こう言わせた。
「鉄炮で敵を討つことは、この城の穢れになります。
敵は神力にて退散させますので、
鉄炮は城外に運びますように。」
そしてその巫女がお祈りを始めると、なんと城を取り囲んでいた軍勢が、
瞬く間に消え去ってしまった。
公親はこれに喜び、巫女を信じ鉄砲を場外に運ばせた。
さて、勿論有馬勢の撤退は見せ掛けだけのものである。
鉄砲を運び出した事を察知すると直ちに引き返し、
攻撃を仕掛け、見事潮見城を落とした、とか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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