龍造寺家の武将・成富信種の息子・茂安。
幼いころは、性格が粗暴で大人でも手が付けられないほどの暴れん坊だった。
ある時、茂安は遊び仲間と博打をしたが、負けてしまった。
茂安はこともあろうに、家の籾倉まで博打のかたにしてしまった。
親戚連中はさすがに茂安の勝手な振舞いに激怒した。
「なぁ、信種よ、あんな奴、生きていたってしょうがないよ。ばっさりやっちまおう。」
だが、父親である信種は集まった一堂にこういった。
「たしかに、わが息子の凶状は申し訳ない。
だが、今一度、機会をくれ。
それでも行状が改まらない時は、わが手にかけて討ち果たそう。」
こういって説得した。
信種の甲斐もあって、茂安は心を入れ替えることができた。
のちに佐賀の水神とたたえられる成富兵庫。
彼が多くの人々から慕われたのも、
父親が親身になって、和を説いたからかもしれない。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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