鍋島勝茂の臨終の床で、夫人・高源院が枕元で語りかけた。
「お前様、良きご臨終、お目出とうございます。
大名としての一生に落ち度もなく、
弓矢の働き良く、お国とお家を見事に治め、
子孫も増え、無事家督をお譲りになりました。
八十年近きご生涯は、比べるもの無き終わりを迎えることができまする。
この上は、少しも思い残すことなくお逝き下され。
私はここでお暇乞いを致します。」
それを横で聞いていた勝茂の娘・お長が泣き出すと、
高源院は般若の顔となり睨みつけ、
「女だからとて、武士の子が道理をわきまえず、末期の親に涙を見せおって!」
と言って荒々しくつかみ上げ、別室に引きずり出してしまったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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