天正15年(1587)4月10日、豊臣秀吉による九州征伐が進む中、
当時20歳の黒田長政を主将とする部隊が、
島津の支城のある日向の財部という場所へ威力偵察に出、
そこで伏兵と交戦する、という事があった。
さて、この時、黒田軍の後藤又兵衛は、川中で敵と戦い、馬上で組んでそのまま落ち、
上に下にと組み戦ったが、敵が大力であったため終に又兵衛は組み伏せられ、
もはや危うし、という所に、又兵衛の馬取が一人、彼を助け敵を引き剥がした。
これで息を吹き返した又兵衛は、逆に敵に乗りかかり、終に討取ったのである。
又兵衛は、馬取に命を助けられたのみならず、敵を討って高名までしたので、
帰陣の後は、あの馬取を思い切って取り立てよう、そう考えていた。
ところが、下臈というものは心拙いものである。
馬取はその陣中において、又兵衛の刀脇差しを盗みとって逐電してしまった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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