朝鮮の役でのこと。
有る時、黒田家の陣営において、
黒田三左衛門美作、野村隼人、後藤又兵衛の3人が、一緒にあった時、
向かいに敵の唐人(明人)が一人あり、矢をただ3本、手に挟んでいた。
黒田家の3人はこれを見つけると、討ち取らんと争って駆け寄った。
先ず、後藤又兵衛が一番に馬で乗り寄った。
しかし唐人が矢を放つと、これが又兵衛の小腹に当たり落馬し、
当の敵を討つことは出来なかった。
次に野村隼人が駆け寄ったが、唐人は近くに寄るまで矢を放たず、
なおも近づいた時、
放たれた矢が隼人に当たり、これも討つことは出来なかった。
3番目に三左衛門が唐人の側まで駆け寄って、刀を抜いて振り上げた。
そこを唐人は狙いをつけて矢を放った。
その矢は三左衛門の右手に当たり、肘から上腕の後ろまで貫き、
三左衛門はたちまち刀を落とした。
が、三左衛門はそれに構わず、この敵と組打ち、ついに仕留めたのである。
それにしてもこの唐人、ただ3本の矢によって3人を射たというのは、
全く珍しいほどの手練であった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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