黄金の鞘☆ | げむおた街道をゆく

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関ヶ原の前夜。
 

上方での異変を聞きつけた薩摩の武士達は地元から続々と駆けつけた。
もちろん有栄も例外ではなく、地元から駆けつけたのだが、

周りの薩摩隼人たちは、
彼の装備に仰天することになる。
 

なんとこの男、黄金で拵えたド派手な鞘に刀を納めていたのだ。

やがて関ヶ原にて合戦が始まる。
有栄も大谷勢を撃破して勢いに乗る藤堂、筒井を相手に勇戦するが、
ご存知の通り西軍は敗退し、島津義弘は決死の敵中突破を行うことになる。

敵中突破に成功した後の逃避行は苦難を極め、食うや食わずやの行軍となった。
犬山に潜み、いよいよ食料が尽きかけた頃、有栄は、
「心当たりがあります。暫くお待ちください。」

といって姿を消した。

「あの見栄っ張りのボンボン、何を考えてるのやら…。」

と皆が待つこと数刻、
有栄は米の袋を両手に帰ってきた。
「一体どうやって?」

と皆が驚きつつ尋ねると、
有栄は特に誇るでもなく、自分の腰をポンポンと叩いた。
 

見れば自慢の黄金の鞘はなく、そこには粗末なボロキレで、

グルグル巻きにされた刀があるのみだった。

有栄が成金趣味ではなく、
このような時のために、日ごろの蓄えをなげうって、

大急ぎで黄金の鞘を拵えたと、みんなが知るのは薩摩に帰国して後のことであった。

このことに感銘を受けた諸将は、

「さすがは有信の子よ。」

と感心し、薩摩では危急に備え、たとえ普段が貧しくとも、

備えを怠らないようになったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 黄金の鞘、山田有栄

 

 

 

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