一条氏の援助を得、長宗我部国親が岡豊に復帰したころのこと。
国親はまさに四面楚歌の状況にあった。
仇敵・本山氏とは和睦したものの、依然大きな脅威だった、
吉良氏、山田氏らの家々は健在である。
後援者である一条氏の本拠・中村は、地理的に遠い。
その上、四散した旧臣達は、国親の実力を測りかね、なかなか集まってこない。
「仇敵に囲まれているというのに、
仇討ちどころか孤立するばかり。
行く末もおぼつかぬ。
どうしたら父母の無念を晴らせるか。」
国親は日々、嘆いていた。
そんな彼に心強い味方が現れる。
近隣の領主で、知謀に長けた吉田孝頼である。
孝頼は国親に具申した。
「天の時は地の利に如かず。
地の利は人の和に如かず。
大事をなすには、まず人です。
人を懐かすため、真っ先になすべきは慈悲をかけることです。」
国親は納得し、早速、政治を改めた。
高すぎた税は引き下げ、法度を緩和し、領民一人一人に目を配る善政をしいた。
人々は一斉に国親を称賛し、この評価を聞いた旧臣も次々に帰参してきた。
長宗我部躍進の基礎を用意した、天地人の話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
→ 長宗我部家臣団
ごきげんよう!