天正11年(1583)、賤ヶ岳の戦いで敗れた柴田勝家は、越前・北ノ庄に退却して行った。
勝家は途中の山に殿を残し、秀吉軍の追撃を阻んだ。
これを見た秀吉は人を選び、
騎馬隊を編成して攻めさせたが、上から鉄砲を撃たれて、
隊長が戦死するありさまだった。
山登りに成功しても、伏兵が待ち構えているかもしれない。
かと言って、目の前の敵を放置するのは武門の恥だし、
迂回して時間を無駄にすれば、勝家が再起するかもしれない。
蜂須賀正勝、
「どうやら、俺が出ねばならんようだな。」
秀吉の前に出た正勝は、
「伏兵が大勢なら、すぐ戻ります。
少数なら、馬を輪にして走らせる。
それを合図に、全軍で登って来て下され。」
と言い残し、騎馬隊を組んで、柴田軍のいる山に向かった。
正勝は敵の射程ギリギリまで近寄って留まり、
敵の射撃がいったん収まるのを見計らって、
射程内に一度だけ踏み込むと、すぐ後退した。
これを見た柴田軍は、正勝が逃げたと思いこみ、斉射を止めて全軍で追撃を開始した。
敵の実数を見切った正勝も後退を止め、騎馬隊を車懸りにして、敵を向かえ討った。
正勝の馬が輪乗りになったのを見た秀吉軍は、一斉に敵に向かって殺到した。
一気に距離を詰められた敵は、鉄砲の用意が間に合わず全滅し、
秀吉は安心して勝家の追撃を続行できた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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