時は江戸時代初期、駿府城内で大御所・徳川家康と御伽衆・山名豊国が話をしていた。
家康、
「そちは朽木元綱を、粗相人(そそっかしい人)だと称しているらしいが、
そちの方が元綱よりよほど粗相人だろう。」
豊国、
「なぜでしょうか?」
家康、
「元綱は殿中での振舞いに祖粗があったとしても、
先祖伝来の朽木谷を守っている。
だがそちは゛六分の一殿″と称される程の先祖を持ちながら、領地を全て失った。
これ以上の粗相人はあるまい。」
豊国、
「まったくおっしゃる通りでございます。
せめて先祖の十分の一の領地を持つ身になりとうございます。」
家康は豊国の最後の一言を、苦笑しながら聞いていたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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