花房助兵衛職之の幼名は、若狭と謂い、
備前由加利村の寺に、行儀見習いとして預けられていた。
寺では碁打ちが盛んで、小坊主や行儀見習いの間で、
金子や寺の仕事まで賭けて勝負をするほどだった。
若狭は幼いながら碁が強かったが、年上の小坊主には勝てず、
いつも金子を巻き上げられ、嫌な仕事をさせられていた。
ある時、寺の山門で床机を置き、くだんの小坊主と碁を打っていたが、
どうしても二目、三目の差で勝てない。
もしやと思い小坊主の手元を見ていると地を数える際に石をごまかしている。
問いただすも小僧も簡単には認めない。
腹を立てた若狭は碁盤で小坊主を打ち殺し、
そのまま寺を出奔してしまった。
のちに若狭は、宇喜多直家に仕え、備前由加利の地も領地として賜った。
助兵衛を領主として迎えた寺の坊主らは、どう思ったのであろうか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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