島原の乱鎮圧を終えた福山藩御一行は、
船で福山まで帰る事に。
ところが途中下関に差し掛かったところで、
突風に煽られ一団の乗る船があわや転覆といった事態になった。
そこで家来たちは老体の勝成の身を案じて、
小舟で近くの陸地へ上陸させようとした。
しかし、そのやり取りを屋形の中で聞いていた勝成は、
「それはとんでもない事だ。
自分の一命をなげうって主君の為に働いた家士を見殺しにして、
主君である勝成ひとりが逃げたとあっては、それこそ天下の物笑いだ。
人の存亡は天の命ずるところである。
この勝成は士卒と運命を共にするつもりであるから無用の心配せぬがよい。」
と屋形の障子を閉めてしまった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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