永田治兵衛は、浅野家の家臣であったが、多病の質で、
「あいつは何の役立つのか。」
と、家中から陰口を言われていた。
これに対し永田は、
「下郎であれば健やかでなければ、役に立ち難いだろう。
だが武士は病身であっても義勇さえ有れば、役に立つのだ。」
そう語った。
この事を聞いた者達は、
「永田の言葉は、世に言う負け惜しみだ。」
と嘲った。
やがて大坂夏の陣、泉州樫井の合戦において、
永田は淡輪六郎兵衛の首を取り陣中に帰ると、
彼の陰口をしていた者達に言った。
「病身者がかかる振る舞いいたし候。無病の人たちはどうして功名無きか!」
これに答える者は、一人もいなかった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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