吉村には、似合わぬこと☆ | げむおた街道をゆく

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水庵(渡辺勘兵衛了)が、坂本に居住していた時、

水庵の家来が、大津の町において喧嘩のこと有りと聞いて、
吉村又兵衛(宣充)、その頃は牢人であったが、

水庵のもとに急いで駆けつけてきた。

水庵は、対面するや言った。
「喧嘩見舞いであるのなら、特別のこともないので帰られよ。
ほかに話したいことがあるのなら、飯を食ってから話されよ。」

吉村、
「喧嘩のことを聞いて急いで見舞いに来たまでである。そういうことならば帰る。」
そういって帰ったが、この時、水庵は次男を道まで遅らせた。

水庵は次男に、こう申し含めていた。

「私は直に言わない、汝、密かに吉村に伝えてほしい。

今日の見舞いのこと、吉村には似合わぬことである。
我等の手の者の喧嘩のこと、別にこれといった仔細のあるものではない。

こういう事には天下の大法が大方定まっている。

我が者が斬り殺されれば、相手の者は切腹に成るし、

人を斬れば、此の方の者が切腹と成る。
である以上、気遣いに成ること無い。
こういったことに吉村が大急ぎで京より来るというのは、

まるで一揆合いで手足の働きをするの若者のようではないか。

以降慎まれるように、と。」

然るべき事である。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 侍大将の胸毛・異聞、渡辺勘兵衛

 

 

 

ごきげんよう!