戦国の名物男の一人、渡辺勘兵衛了。
彼がまだ若年の頃、阿閉貞征に仕えて、謀反した荒木村重を攻撃する、
織田信長の軍勢の中にいた。
摂津吹田表にて戦闘があった折、
阿閉軍二百は敵陣に突入し、敵将の首6つを取るという戦果を得た。
中でも渡辺勘兵衛は、真っ先に駆け入り、阿閉軍の取った六つの首の中の、
一番首を取った。
この手柄により勘兵衛は、この頃阿閉貞征が寄騎していた羽柴秀吉の黄母衣衆、
山葉文蔵と言うものに付き添って、信長の本陣へ派遣されるという栄を受けた。
さて信長、勘兵衛を御前に召し招き、
「お前の今日の働きは比類が無い。何か褒美を与えようと思うが、さて、なにがいいかな?」
と、周りをきょろきょろ。
「お! これだ!」
信長が見つけたもの、それは、
『干し鮭』
勘兵衛の目の前に、間違えようも無い干し鮭が置かれた。
「これを与える! 以後、ますます励むように!」
「は、はあ…。」
こうして干し鮭をありがたく押し頂き、自陣に帰っていった。
渡辺勘兵衛、この時17歳。
初めての御褒美は鮭であった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!