井伊直孝の家臣が、規律にそむいた家来を手討ちにしようとしたが、
30間くらいまで逃げられて、やっと家来を討った。
直孝は、
「その場で討てないやつなど、必要ない。」
とその家臣をクビにした。
別の家臣が家来を手討ちにしようとしたとき、
その家来は抵抗して主人に傷を負わせたが、ついにその場で討たれた。
家中の者は、先例は手傷を負わなかったのにクビだったのだから、
手傷を負ったならば切腹だろうと思っていた。
しかし直孝は、
「よく養生せよ。主人に傷を負わせるほどの剛強な家来をかかえるとは、たいした奴だな。」
と家臣を誉め、みなの予想を裏切った。
逃げられるのは恥だが、傷は恥ではないということか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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