一、人が隠していることを見聞きしようとしてはならない。
人が秘蔵するものを、所望してはならない。
一、不慮の仕損じというのは、能力の有る人でも有る事だ。
しかし自分の仕損じを人のせいにするのは大いなる恥辱である。
逆に人の仕損じを我が身に引き受けるのは、見事というものである。
一、家を治めるとは、金銀米穀の事である。
これを知らずに、人の家に意見すべきではない。
一、昔、数度の武功の誉れの有る老武士があった。
若き人が彼にその武功を物語って欲しいと望んだ所、
彼は、こう言った。
「私は若い頃から、さしたる武功も無かったが、性格に愛嬌があってな、
人からよく思われたのだ。
だから少しの勤めも良く受け取られ、思いもよらぬ誉れを得たのだよ。
人はただ、愛嬌があるのが良いのだ。」
殊勝な物語ではないか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!