物音の響に、差別あり☆ | げむおた街道をゆく

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信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

日根野法印(弘就)が、弟の弥二右衛門と、同じ陣屋にて寝ていた所、

外で騒がしい物音がした。

弥二右衛門は、すぐに起き上がり甲冑に身を固めた。

 

この時、寝ていた法印が、

「外にて物音の高いのは何か?」

と尋ねた。
 

「夜討ちでありましょう。」
「私もそのように聞こえる。」

法印がそう言っている内に、弥二右衛門、槍を取って出ていった。

そして法印は起き上がり槍を取って、

「弥二右衛門は?」

と近習に問うと、

「すでに御出です。」

と答えた。

「要らざることをやったものだ。おそらく負傷するだろう。」

そうつぶやいている所に弥二右衛門が帰ってきた。

 

彼に法印が聞いた。
「変わったことは無かったか?」
「この先で夜討ちがありましたが、早くも事すみました。」
「要らぬことをしたものだ。負傷しなかったか?」
「少し手傷を負いました。」
そう答えたという。

日根野法印は度々の功多く、物事に慣れており、

自然とその言葉は戦の法則にかなっていたという。
 

後に法印は、この時のことを問われて、
「物音の響に、天に答えると地に答えるの差別が有る。

地に響くのは皆実事であり、天に響くのは皆虚事である。

あの夜の物音は空に響いていた。

であるので、事、必ず実では無いと考えたのだ。」
そう言ったそうだ。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 日根野頭形、日根野弘就

 

 

 

ごきげんよう!