ある時、信長が私室で一人でいる時、
「誰か有る!」
とのたまった。
近習の一人が、
「何の御用でございますか。」
とやって来たが、信長は黙ったまま、
「もういい。」
と、その者を下がらせた。
またしばらくして信長が、
「誰か有る!」
と大声を上げ、
別の近習がやって来たが、これまた何も命じずに下がらせた。
するとまたまた信長が、
「誰か有る!」
と声を張り上げた。
さらに別の近習がやって来たが、これも何も命じずに下がらせた。
しかし、この近習は、前の二人と違い、退出する前に、
出入り口の脇に落ちていた小さなゴミを、
そっと懐に入れてから出て行った。
実はこれは信長がわざと置いた物で、
それ以降、重用されるようになったゴミを拾った近習こそ、森蘭丸である。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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