西軍についた丹羽長重は、関ヶ原の戦いの結果、没落した。
これにより長重は漂白し、付き従ったのは大谷与兵衛一人であったと言う。
大谷は自分の馬に長重を乗せ、三尺手ぬぐいを切り裂いて轡を結ぶなど、懸命に世話を焼いた。
各地で落ち武者狩りが勃発したが、これをなだめすかし、あるいは夜を徹して逃げ、
ついに長重を上方へと送り届けた。
この時、長重は大谷に手を合わせて、
「お前から受けた恩は決して忘れぬ。
もし許され、再び大名へと戻る事ができたなら、必ずその十分の一を与える!」
そう、約束した。
後、長重が1万石で召しだされた時、早速に大谷を呼び、千石を与えたと言う。
世の人々はこれに、
「主君が上がり目の時は、誰でもそれに付き従うものだが、
落ち目を見届けた大谷与兵衛こそ真の忠義者である。」
と、そのように言いそやしたそうである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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