織田信孝殿の侍・二宮千太郎。
博打に打ち負けて、馬、物の具取られ、
どうしようもなく、三七殿の御前に参り、
「私は不心懸故によって博打を打ち、此の如き仕合に罷り成りました。
相手の者に様々に詫ましたが、馬も具足も貸してもらえず、
この上は彼を討ち果たそうと存じましたが、
私はこのようになったにせよ、相手は御用に立つべき者であり、
それをこの時に討ち果たしてしまえば、いよいよ不忠でありますので、
この上の御慈悲には、御検使を受けて切腹仕りたく存じます。」
そう申した所、三七殿は、
「申す所、聞こえる義も少しは有り。」
と言われ、黄金二枚、具足、馬まで下し給わった。
彼は翌日の合戦で組討をして高名を究めた。
三七殿も御気色をなおされたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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