上杉景勝と前田利家☆ | げむおた街道をゆく

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天正17年(1589)、重陽の節句に、

聚楽第で諸侯が集まり、秀吉への拝賀の儀があった。

この時、上杉景勝と前田利家が、拝賀の席次でモメた。
奏者番もどちらを先にするか決めかねていると、

上杉の家老・直江兼継が進み出て言った。

「わが上杉は、関東管領を継ぐ家柄にござる。」
尾張の田舎侍のごときは後にしろ、と言いたいのである。

『槍の又左』が、口で当代きっての教養人にかなうはずもない。
もはやこれまで、恥かくよりは景勝と刺し違えて…と、

利家が腰の物に手を伸ばしたとき、
前田家の家老・村井長頼が、利家を押しのけて発言した。

「直江殿の仰せ、ごもっとも。
しかし、関白殿下は小者の身分から、ご自身の働きにより天下人になられ申した。
われらが殿も、それに及ばずながら、

槍一本で手柄を上げ今や三ヶ国の太守にござる。

上杉殿が元よりそれほど高きお家柄ならば、本日の拝賀も無用ではござらぬかな?」

さすがの直江も、言葉に詰まって景勝が無言で制するのに合わせて引き下がり、
前田家が先に秀吉に拝謁した。

その夜、屋敷に帰った利家は長頼を食事に誘い、みずから膳を据え酌をしてやり、
長頼自慢の関羽のごときヒゲをなでながら語った。
「いや、今日オレがオレでいられるのは、このヒゲ殿のおかげだな。」

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 髭殿、村井長頼

 

 

 

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