ある時、幻庵が、町人の徳斎と言う者と、碁を打ったことがあった。
徳斎は、有名な北条家の長老との対局ということで最初は緊張し、
礼儀正しくしていたが、
やがて二番三番と進むうちに夢中になってしまい、ついつい対局中に、
地下の言葉でぶつぶつ言い出した。
幻庵がよい手を打った時、
「そこに打ったか! この小僧(碁石の事)は、何処につながっている小僧だ?」
と言いながら考え込んだ。
それを聞いた幻庵。
「どこの小僧かということですが、私は伊勢宗瑞(北条早雲)のせがれです。」
それを聞いて徳斎、にわかに我に返り、恥ずかしさのあまり、
そのまま座を立って逃げ帰ってしまったとか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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