小田原城下で馬泥棒が捕まって、北条早雲の前に引き出された。
役人が尋問すると、馬泥棒は平然とこう答えた。
「いかにも手前は馬を盗みました。
馬泥棒に相違御座いませんが、手前の罪など軽いもの。」
と言って早雲を指さし、
「あのお方は、国を盗みなされた。あのお方のほうが、罪が大きゅう御座います。」
早雲は怒るかと思いきや、
「まことに、その通りじゃ。」
と笑って馬泥棒を許した。
これを聞いた領民達は、
「さすがに一国の主になった武将。」
と、その豪傑ぶりに感心したという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!