お金を貯めるのが大好きで、部屋一杯に銭を敷き詰めてそこに寝転がって楽しんだり、
そうかと思えばその銭を放っぽり出してトラブル解決に尽力してたり、
仲間に貸した金の証文を惜しげもなく焼き捨てたり。
お金が大好きだけど、お金の使い道、お金よりも大事なものを、
知っていた岡左内。
元々は蒲生氏郷に仕えていたのだが、
蒲生家転封に従い上杉景勝、更に関ヶ原後は蒲生家に復帰という、
経歴を持っている。
これがいつの頃の話だかは記録されていない。
が、出典は『会津陣物語』なので、上杉に仕えていた頃の話か。
家中に陣触れがあり、上杉家の武士達は皆、武具の用意や手入れ等、
合戦の準備に大わらわとなっていた。
しかし、普段は能の役者を呼ぶコトのない左内の家だけが、
陣触れなぞどこ吹く風、とばかりに役者を呼び寄せ、
息子にまで能を舞わせ、盛大な能の会を開いていたと言う。
不思議に思った友人が、
「合戦の準備は良いのか?」
と聞くと左内は答えた。
「合戦の準備?
何か特別なコトが必要か?
普段から武に心を配っていれば、明日出陣だと言われても困るコトなどないだろう?
それよりも、ワシも人並みに能は好きなんだが、普段はお前達の家に呼ばれているとかで、
役者が捕まらんのだよ。
しかし、合戦前になると、彼等はヒマになるらしくてな。
まぁ、明日討ち死するかも知れぬからな。
この世の記念にと盛大に宴会をしているのだ。」
武士なんだから合戦の準備など、普段からやっとけよ。
と言う岡左内の心がけの良い話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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