水戸徳川家初代・徳川頼房が、鶴千代丸と呼ばれていた頃である。
父・徳川家康達と高い櫓に上った折り、家康が戯れで言った。
「ここから飛び降りる者はおるか? 褒美には望むものを与えるぞ。」
残念ながら某真田家臣のようなノリの良い男はおらず、大人達は応じない。
そんな中、
「鶴が参ります。」
「へ?」
「褒美に、父上の天下を下さい。」
「落ちたら死ぬぞ、天下をとっても死んだら意味ないだろ。」
「確かに鶴は死にますが、一瞬でも天下を治めた者として名が残ります。
私は天下人の名こそ欲っします。例え一瞬でも満足です。」
家康は、鶴千代丸を激賞したという。
家康、秀忠の頼房への信頼は厚く、それぞれの遺言に、その名がでている。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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