成瀬正成は、徳川家康の近臣で、尾張の徳川義直に付けられ、
義直に対しても忠勤を尽くして仕えた。
正成が日頃望んでいたのは、
「恐れ多いことだが、
死後には尊神(家康)の御かたわらに侍りたいと思う。」
ということだった。
程なく正成が身罷ると、義直はその志を思って遺言に違えず、亡骸を日光山に送った。
その死の三日前の事。
天海は、
「今朝神祠に参ったところ、正成がここに来て、
神君の御前に侍っているのを見た。
正成は近いうちにきっと身罷ると思う。
まもなくやって来ることだろう。
本当に哀れなことだ。」
と言って涙を落とした。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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