父には、似ざらる者かな☆ | げむおた街道をゆく

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本多出雲守忠朝という人は、中務大輔忠勝の二男にして、

去る関ヶ原合戦でも高名あり、大御所(徳川家康)も、
甚だ称賛していた。

例年、出雲守は参勤の折に、大御所に蝋燭を献上していた。

大御所はこの蝋燭を、

「他に異なる。」

と褒める仰せがあった。


ある時、忠朝が参府し、晩景に及んで出仕し、在所の鹽肴を献上した所、

老中一同が、このように申した。
「足下が献上した蝋燭が、御旨にお叶いになった。今回も蝋燭を献上されるのがいいだろう。」
しかし、これを聞いた忠朝は、
「その事を知らざる故に、用意しておりません。」
と申した。

本多上野介(正純)は、これを聞くと、
「然らば、御納戸に置いてある蝋燭で、間に合わせれば良いでしょう。」

と言った。
 

これに出雲守大いに喜び、その蝋燭を献上した。

さて、忠朝退去の後、大御所が、その献上された蝋燭を灯された所、

前のものと違い大いに流れた。
 

これを御覧になって、
「出雲の父は、武勇のみだけではなく、このような小事であっても、

曾て越度がなかったが、父には似ざらる者かな。」
と仰せになった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 酒封じの神、本多忠朝

 

 

 

ごきげんよう!