料理番の羽織☆ | げむおた街道をゆく

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老中の酒井忠世は徳川創業功臣の一人である。
 

ある日、忠世が下城しようとした時のこと。
普通下城する時、御台所口の前を通るのだが、

そこで料理番の下役たちにバッタリ出会ってしまった。
下役たちは、相手が老中という事もあり慌てて平伏したのだが、

その時に袖口から魚の切り身が廊下に落ちてしまった。
下役は顔を真っ赤にしてそれを後ろに引っ込めたが、忠世は素知らぬ顔をして通り過ぎた。
 

それを見ていた供の者が、

「あいつら、後で取り調べて処分すべきです!」
それに忠世は、

「いや待て、料理番たちが悪い訳では無い。あれは私の責任だ。」
供の者「?」
忠世「料理番たちの安い給料ではああするよりなかったのであろう。」
供の者「しかし、魚の切り身とはいえ公の物でございます。

それを役得のように持ち出すのはどうかと・・・。」
忠世「役得か。役得が無ければ食っていけない状態を、私は問題にしているのだ。

それはわれわれ政治を預かる者の責任だ。
今後、彼らに羽織を支給してやれ。」
供の者「羽織ですって!?なぜです?」
忠世「羽織があれば、役得の魚の切り身も上手く隠し持てるだろう。

そうすれば、今日のような恥をかくこともあるまい。」
忠世「そのうち政治が改まれば、彼らも羽織を必要としなくなるだろう。

どのようにするかは私の課題だ。」

こののち、政治は徐々に改まり、魚の切り身を持ち出す料理番は居なくなったとか。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 雅楽頭系酒井家7代、酒井忠世

 

 

 

ごきげんよう!