青山忠俊は、徳川家光の守役であったが、家光が成長してからも直言を繰り返し、
ついに改易・配流となった。
後に家光は、己の行いを後悔し、忠俊を呼び戻したが、忠俊はこれを断った。
それに代わって、忠俊に連座して蟄居した者たちが再出仕を許された。
特に嫡男の宗俊は、父譲りの実直さを認められ、
書院番・大番頭と昇進を重ねていった。
青山家が再び家光の信頼を得たのを見届けた忠俊は、
配所で66年の生涯を閉じた。
それから何年か後、青山因幡守宗俊は、将軍家光の呼び出しを受けた。
「お前の所領3千石に、信州小諸2万7千石を加えて、3万石とする。」
「ははーっ! 有難き幸せにございまする!」
「お前の父は、わしの幼き時より犬馬の労をいとわず尽くしてくれた。
しかし若き日のわしには、
その事が分からず、良き忠臣を配所で死なせてしまった。
その事、未だに悔やまれてならぬ。
ここに青山家を大名に復す。
宗俊よ、忠俊がわしに仕えたのと同様に、竹千代(家綱)に仕えよ。」
「ははっ! 亡き父も、さぞや・・・。」
眼からあふれるものを平伏して隠し、ようやく落ち着いて退出しようとする宗俊に、
再び家光が声をかけた。
「あぁ宗俊よ、今一つ命じる!
お前はこれより下城した後は、どこにも立ち寄ってはならぬ。
まっすぐに帰宅して忠俊の位牌に、この事を伝えるのだ。
良いな、頼んだぞ。」
宗俊は、もはや涙を隠すこともなく退出した。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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