大阪夏の陣の折、青山伯耆守(忠俊)の備えは、
敵を真向に受け非常な激戦を繰り広げたが、
伯耆守は青山組の侍に向かって叫んだ。
「願うところの幸いに候!
何れも悪びれたりするな、誰も誰も、今日を討ち死にと思い定めよ!」
しかし、これを聞いた野一色頼母が言い返した。
「これは仰せとも思えない!
他は知らないが、私は江戸を出る時から既に討ち死にと思い定めているのだから、
今日を限りの討ち死になどと存ずるまでもない!」
この一言に人々は勇気を励まし、
「そうだ! 頼母の言うとおりだ!」
と一同して勇んだ。
野一色はその日、討ち死にを遂げた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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