京・二条城にて、久世三四郎・坂部三十郎の二人が、
知行の加増にあずかった。
この話を聞いた大久保彦左衛門はすぐに登城して、
二人を出待ちし二人を見つけ尋ねた。
「其の方両人登城とは、何事か?」
勘の鋭い久世は、彦左衛門がいまにも斬りかかってきそうな勢いなので、
坂部をつねって目配せし、
「思いがけず加増していただきました。特筆すべき武功を立てたわけではございません。
強いて言えば耳たぶの事を評価してもらったのだと思います。」
と答え、耳たぶをつまんで見せた。
これを見た彦左衛門は笑いだし、
「さようか耳たぶの評価か、武功以外で貰う知行などはクソだ。
そんなクソ知行ほしくはないわ。」
と皮肉をいって帰っていった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!