越前忠直卿、さまざまの悪行をされていたが、
妊婦の腹を裂いて御覧になることが、たびたびあった。
ある時、鷹狩りに出た時に、野で一人の女が摘み草をしていた。
それを見た忠直卿は、岩崎大膳に、
「あの女は妊娠しているとみえる。様子を見て、連れて参れ。」
と仰せになった。
大膳は、かしこまって女のところに行き、改めるとまさしく懐妊であった。
大膳は、不憫に思い、女に摘んだ草を全部懐に入れさせ、忠直卿の元に戻り、
「どうやら摘んだ草をたくさん懐に入れていたようで、懐妊ではありませんでした。」
と復命した。
こうして大膳のおかげで、女の命は助かった。
大膳は、忠直卿お預けの後、井上河内守に招かれて客人となったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!