定家の掛け物☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

前田利常が、ある時、藤原定家の掛け物を手に入れた。
手に入れれば、自慢したくなるのが人情と言うもの。
そこで利常は、かねてより親交のある小堀遠州に、

この掛け物を見てもらおうと、彼を茶に招いた。

さて、茶席に入った遠州は、かの掛け物をじっと眺めたものの、そのまま何も言わなかった。
 

利常も、遠州が黙っているのに、主人の方から、

「この掛け物はいかがですか?」

と聞くわけにもいかず、
気詰まりの重い空気のまま、その茶会はお開きとなった。

後日、前田家の使者が、遠州の元を訪ねて来た。
「われらの主人が、あなたを茶にお招きした意図は、お分かりのはずです。
あの定家は、いかがなものでありましょうか?」

これに遠州は、
「いやはや、いかがかと言われますが、自分が書いたものを、自分で批評は出来ません。」

なんと、その掛け物は、遠州が書いた定家様の書が、

いつの間にか本物の定家として表具されたものであったのだ。
 

前田家の使者は、赤面して退散したと言う。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 底の知れぬ人、前田利常

 

 

 

ごきげんよう!