田植えの季節☆ | げむおた街道をゆく

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南部晴政は、北奥に覇を唱えた有能な大名だったが、不幸にも男子に恵まれなかった。
そのため晴政は、娘たちを有力家臣に嫁がせ、

ゆくゆくは長女の婿に家を継がせるつもりでいた。

ある日、晴政は家臣を連れて鳥狩りに出かけた。
ちょうど田植えの季節だったが、城主を見た農民たちはその場に平伏した。
行列は何事もなく厳粛に通りすぎるかに見えた。

そのとき、突然田んぼの中から、美しい娘が飛び出してきた。
 

彼女は、

「殿様にお祝い申し上げま~す!」

と言い、笑いながら両手の泥を晴政の服と顔に塗りたくった。

凍りついたのは、その場にいた家臣と農民たちである。
 

実は無病息災を願い泥を擦り付け合う風習は全国各地で見られるのだが、

殿様相手では話が違う。

が、晴政は、

「おめでたいことだ。」

とニコニコ。
 

娘を叱りつけることもなく、全身泥だらけになりながら輿に乗ったという。

後日、この娘は晴政によって召し出され、やがてその寵愛を受け男子を生んだ。
晴政は諦めかけていた実の息子の誕生に大喜びし、この子を鶴千代と名付けた。
この鶴千代が後に元服して南部晴継となるわけだが…。

 

これ以上語ると悪い話になるのでやめておく。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 三日月の丸くなるまで、南部晴政

 

 

 

ごきげんよう!