秀吉に謁見し、あっさり独立に成功した松前慶広。
時流を読むのに長けた彼は、秀吉在世中から、
次の天下人家康とも誼を通じていた。
文禄2年1月のことある。
松前慶広は肥前名護屋にいた。
秀吉の唐入りに従軍するためで、
北海道から遠路はるばるやって来た慶広に、
秀吉はたいそう喜んだ。
同7日、慶広は徳川家康に謁した。
挨拶もそこそこに、家康はじろじろ慶広の姿を眺めた。
その時、慶広は、日本では珍しい、唐衣を着ていた。
家康が、よほどもの欲しそうな目をしていたのか、
それとも始めから慶広の計算だったのか、
慶広は着ていた唐衣を、その場でサッと脱ぎ、家康に献上した。
家康も珍しいものを貰って大喜びし、
以後、松前家と徳川家は深く交誼を結ぶことになったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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