大坂冬の陣の時、蜂須賀阿波守(至鎮)の陣に、
塙団右衛門が夜討ちした時、蜂須賀の家臣・賀島主水という者、
この時十五歳であったが、
敵が一人、橋の欄干に在ったのを、鑓を突き立てたが、かの者は、
「味方を見誤ったか!」
と言ってきた。
それを聞いた味方の者達も、
「同士討ちするな!」
と、声をかけてきたので、賀島はそのまま鑓を引いた。
するとかの者は大坂城内に駆け入り、馬を控えて、
「只今の士は、何と言える若者ぞ! 我は今夜の大将、塙団右衛門なり!」
と名乗り捨てて内に入ったという。
賀島主水はこの事を、老後まで語っていたとか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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