原虎胤は、あるものが苦手で、同僚から不思議がられていた。
ある人が、虎胤に問い質した。
「貴殿は他国までも聞こえる大武辺者。
その貴殿が奥方をとにかく恐れておられる。
なんとも心得難いことです。」
虎胤は答えた。
「人を襲う恐ろしい蛇にも、三すくみというものがあって、
ナメクジに絡みつかれると、身動きも出来んそうな。」
「そのようで。」
「わしも、強敵に会えば例え鬼であろうとも組み合わんと勇んで立ち向かうが、
女房に、あの弱々しい風情で組みつかれると・・・とても立ち向かうことなど出来ん。
蛇がナメクジに会ったのと同じじゃ。仕方あるまい?」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
→ 鬼美濃、原虎胤
ごきげんよう!