洪水見物☆ | げむおた街道をゆく

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稲葉一鉄が伊予守だった頃、

軍糧奉行の助左衛門は、亭を建てて閑暇の折には、
そこで友人と一緒に楽しんでいた。

ある時、長く雨が降り続き洪水が田畑に溢れ亭の辺りに水が流れた。
これを聞きつけた助左衛門は、

「良い見物になる。」

と友人を連れて遊興にふけった。

雨はますます降り続き日々水が増していたので「洪水見物」と、

人は皆、助左衛門の亭にやって来て酒宴を催した。

これを耳にした一鉄は驚愕した。

「兵糧は国の第一であるのに、それを掌る身分として作毛の豊凶に心を用いず、
田畑の冠水を楽しんで酒宴に及ぶとは言語道断。

その罪は決して軽くない。
しかし、かの者はいつも正直だから、この一件のために見棄てるべきではないな。
それに不所存者に、大切な役目を任せたのは私の過ちだった。」

一鉄は自分を戒めて三日の間、酒肴を絶ち粗食ばかりを食して、

自らの過ちを家臣に示した。

 

また助左衛門には、

「助左衛門の一件は、その職分をわきまえなかったこと、不届きである。」

と五十日の閉門を申し付けた。

これにはいずれの者も大いに畏服した。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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