稲葉一鉄は、織田信長に降伏したが、信長は一鉄の忠誠心を疑い、
茶室に招いて暗殺する計画を立てた。
茶室に一鉄と三人の織田家の侍が入り、
侍が一鉄の油断を誘おうと茶室の掛軸の画讃の意味を問うた。
僧侶出身の一鉄は、よどみなくその讃を読み、意味を説明した。
隣の部屋でそれを聞いていた信長は、一鉄の知識の深さに驚き、
茶室に入ってこう言った。
「実は、今日の茶会は貴殿をもてなすものではなく、暗殺するためのものじゃ。
しかし、貴殿の博識に免じ命を奪うのはやめた。
これからはわしの謀臣として仕えてくれ。」
と、三人の侍の懐刀を一鉄に見せた。
一鉄は信長に助命の礼を言ったあと、
「実は、それがしは、この茶会が自分を殺すためだと薄々気付いてました。
その際には一人でも多く道連れにしようと懐刀を忍ばせました。」
と、懐中から短剣を取り出して信長に見せた。
信長は、一鉄の覚悟を大いに誉めたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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