四国の老婦たちが口づから語り伝えて曰く。
「戦国の時に豪傑の家に生まれては、
女子といえどもその志は堅固にして願うところ高し。
三好長慶の母堂は、
長慶を身籠り給う時に大願を起こし、
七夜の月を待ち、誓いをなして曰く、
『わらわが身籠った子が男子ならば、
三好七代の天下を持たせてくださり給え。
女子ならば、皇后の位に立たせてくださり給え。』
と言われ、三好の河瀬に立って水を桶に汲み入れて頭に戴き、
月の出るのを待ち、七夜の月の満ちる時に祈の験あって宿所に帰り給う。
それより月足り日重ねて、男子を産む。
これが長慶である。
長慶が成長して天下を手にしたのも、
この母堂の祈願によるのである。」
と、いうことであった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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