在る甲斐もない身の上かな☆ | げむおた街道をゆく

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足利義昭公が、上洛に成功し京に遷られ、武将(将軍)の家督を継がれたと言っても、

尊氏公より代々蓄積された和漢の珍器、武具の類は、

三好のために一時に炎滅したため、万事について調わないことばかりであった。

 

御領分はわずかであり、将軍の体裁にかなうほどの奉行、役人を抱えられたが、

人を抱えれば、日々に負担がかかるものであり、

また御道具も乏しく、かくして義昭公は、
「在る甲斐もない身の上かな。」

と、よろずに思い乱れ給われた。

ある時、義昭公は旧臣達を集めて御談合の事あり、織田信長へ使者を遣わした。

これは、
「よろずの道具について、少しづつ援助してもらいたい。」旨を、

条数をあげて(箇条書きにして)、
杉原を使者として尾張へ下したものであった。

やがて信長にこの書状を差し上げると、彼はこれを詳細に見て、

「こちらから後で御返事申すであろう。」

と、使者に対面せずにこれを帰した。

 

義昭公はその後数ヶ月待ったが、遂に返事すら無く時は過ぎた。
「いかなる所存を差し挟んでいるのか。」

と、都において怪しくのみ思し召しに成った。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 最後の将軍、足利義昭

 

 

 

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