奥方(伊達政宗正室・愛姫)は常に儀式を正しく守ろうとされ、
毎年正月、五月、九月にはおびただしい服を仕立てられた。
正月は晴れ着、五月九月は衣替えのためのものである。
公方様へ献上する服をはじめ、
様々な方面に進上するための服は、数え切れないほどであった。
この衣服を仕立てるため、御縫い物座敷では、
左側は一通り表側を縫う衆、右側は一通り裏側を縫う衆、
中央は綿を入れる衆、縁側はお召のものを縫う衆と別れていた。
そして奥方は禿衆(近侍する少女たち)を相手に、
お一人で布の裁断をして、それをご自身で縫製方に配られた。
この事は、ひとえにご恩返しとしての行為であった。
伊達者として名高い伊達政宗の装束ですが、
これらの多くを、正妻の愛姫が主催する工房で自ら作ってたらしい、
というお話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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ごきげんよう!