加藤嘉明にはある宝物があった。
それは南京の陶器である10枚そろった「手塩皿」。
大事な客が来た時は、いつもこの手塩皿でもてなしていた。
ところがある日、側近の若者が誤って皿を一枚割ってしまったのである。
若者は青くなり、打ち首になるだろうと死を覚悟した。
しかし嘉明は残りの9枚を持ってきて、なんと残らず全て割り始めたのである。
これには若者も驚いた。
すると嘉明は、
「残りの皿をそのままにしておくと、
この皿を出すたびにお前は仲間から白い目で見られる。
だったら全て無くしてしまえばいいのだ。」
と言って笑ったそうな。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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