慶長年中、伏見にて。
越前黄門秀康公(結城秀康)のお屋敷に、お国というかぶき女を召し、
かぶきを踊らせて御見物なさった。
お国が水晶の数珠を襟にかけて舞ってるのを御覧になった、秀康公は、
「水晶は見苦しい。」
と御具足の上にかけていた珊瑚珠の数珠を与え、お国の舞を御覧になった。
秀康公は、御落涙され、おっしゃることには、
「天下に幾万の女がいるが、一人の女と、天下にも呼ばれるのは、この女である。
我は天下一人の男となる願いが叶わず、女にさえ劣っているのは無念である。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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