軍法においては、万事軽く☆ | げむおた街道をゆく

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大坂の陣での五月七日の合戦前に、秀忠公は味方の軍勢を巡見なさった。
黒田長政、加藤嘉明については独立した部隊ではなく、

本多忠純(本多正信の三男)の部隊に属していた。
 

七日の昼前、大軍が備えているところに誰からともなく、

「将軍様御成。」

と言い出したため、長政と嘉明はお目見えのために通路へ出た。
 

秀忠公は一騎で黒い鎧、山鳥の尾の羽織兜をめされ、

桜野という七寸三分の馬に、孔雀の尾の鐙をかけて召されていた。
武具は十文字の長刀、そのほか徒歩の士二十人ほどがお供していた。
 

黒田長政・加藤嘉明をご覧になり両人の方へ乗りかけられたため、

両人は馬の左右の口についた。
 

秀忠公は、「敵を打ちもらし城へ引かれたのは残念だ。」とおっしゃったが、
両人が、「そのうち敵はまた人数を出すので、冥利にお叶いになるでしょう。

思いのままの御一戦となりましょう。」
と言うと、ご機嫌もよくなった。
 

長政・嘉明に、「もう戻ってよいぞ。」とおっしゃられたため、両人は備えに戻った。
途中、本多正信が具足も兜もつけず、団扇で蝿を払いながら乗物に乗って通った。
 

黒田長政が、「将軍様はいつもと違い軽い様子だな。」と申すと、
加藤嘉明は、「いかにもいかにも、このように軽いのは御家の癖だろう。」と答えた。
 

長政は深く感心し、

「秀忠公は常々御行儀正しいが、軍法においては万事軽く行うということか。」
と賞賛したという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 将軍後継者、徳川秀忠

 

 

 

ごきげんよう!